ウイング車の仕事に興味がある人は多いです。
ただし、「実際にどんな荷物を運ぶのか?」まで具体的にイメージできる人は多くありません。
ウイング車は横から大きく開く構造のため、荷物の種類によって作業のきつさ・現場の流れ・積み方の注意点が大きく変わるのが特徴です。
実際に僕も、未経験からウイング車に乗り始めたとき、荷物ごとの違いに強いギャップを感じました。
パレット物は楽でも、飲料は固定が大変で、カゴ車はスピードが求められました。
この記事では、現役ドライバーとしての経験をもとに、ウイング車に向いている代表的な荷物と、作業の流れ・難易度・注意点を分かりやすく解説します。
この記事を読むと、次の判断がしやすくなります。
- 自分に合ったウイング車の仕事が分かる
- きつい荷物を避けて求人を選べる
- 転職後のミスマッチを防げる
といったメリットがあります。
結論として、ウイング車の仕事は、車種ではなく「運ぶ荷物」で選ぶことが何より重要です。
ウイング車で扱う荷姿(にすがた)の基本
ウイング車の仕事は、荷物の形(=荷姿)で積み方と難易度が大きく変わります。
先に荷姿を押さえると、後の荷物パートが理解しやすくなります。
| 荷姿 | 主な積み方 | よく出る現場 | ひとことで |
| パレット | フォーク積み | 工場・物流センター | 一番基本 |
| カゴ車 | 横積み/パワーゲート | 店舗配送 | 動かす系 |
| 長尺物 | 横から差し込み | 建材・工場 | 長い物 |
| 段ボール小口 | 手積み併用 | 店舗・雑貨 | 箱物 |
まずはこの4つを覚えればOK。
荷姿① パレット

パレットは、荷物をまとめて載せる木製・樹脂製の台です。
フォークリフトで扱うのが前提となります。
特徴
- 食品・日用品・工業製品で最も多い
- 横・後ろのどちらからも積める
- 荷崩れしにくく作業が安定
- 一度に大量輸送できる
ウイング車との相性が最も良い荷姿です。
荷姿② カゴ車(ロールボックスパレット)

カゴ車は、四方が囲われた手押しで動かすラック型の荷姿です。
店舗配送やセンター間輸送でよく使われます。
特徴
- 手押しでそのまま積み込める
- 横積み・パワーゲート積みは現場次第
- バラ物より作業が速い
※ パワーゲート:トラック後部に付いた荷物を上下させる電動リフトのことです。
フォークリフトを使用しない現場が多く初心者でも、最初から触れやすい荷姿です。
トラくん横から積むって、段差で落ちない?



段差ゼロのホーム限定だよ。
店舗は、パワーゲートが多いね
【H3|荷姿③ 長尺物】


合板やサッシなど、長さがある荷姿です。
横が全開になるウイング車の強みが活きます。
特徴
- 長さがあるため横積みが中心
- ラッシングによる固定が必要
- バランス管理が重要
※剥き出し鋼材などは平車が多いです。
ウイング車は「製品扱い」で傷NGの長尺物に向きます。



長い荷物って、平車の仕事じゃないの?



傷や曲がりNGの製品扱いはウイング車が向いてるよ!
荷姿④ 段ボール小口


箱単位・ケース単位の荷物です。
量が多い場合は横降ろしが役立ちます。
特徴
- 手積み・手降ろしが発生しやすい
- 店舗配送で多い
- 箱車向きの現場も多い
ウイング車では補助的な荷姿です。
補足|荷物を固定する器具について
ウイング車では、走行中に荷物が動かないよう
荷物の重さや形に合わせて使い分けるのが基本です。
代表的な器具
- ラッシングベルト:荷物を締め付けて動かないようにするベルト
- 固定バー:壁と壁の間に突っ張って固定する器具
- 緩衝材(パッド・マット):家電や精密機器を傷防止のために使う
ウイング車に向いている荷物まとめ
荷姿をもとにすると、ウイング車で扱う荷物は 大きく6ジャンル に分かれます。
ここから順番に、作業の流れと難易度を解説します。
- パレット物(食品・日用品・雑貨)
- カゴ車系(店舗配送)
- 長尺物・資材(製品扱い)
- 飲料(重量物)
- 家電・精密機器(高単価)
- 混載・工場間輸送(ルート便)
1. パレット物
パレット物は、ウイング車で最も多く扱う荷物です。
フォークリフト中心の作業になるため、体力負担が少なく未経験者にも向いています。
代表例
- 常温食品
- 紙製品・梱包資材
- 日用品・雑貨
これ以外にも、大半の荷物は、パレットで輸送します。
特徴
- 対象の荷物をまとめて運べる
- 作業がシンプル
- 現場の流れが整っている
作業の流れ
- バースに付ける
- フォークで積み込み
- ラップ・固定器具で保護と固定
「ウイング車=楽」と言われやすい理由が、このパレット物です。
難易度:★☆☆
向いている人:運転メインで身体に負担なく働きたい人



長く続けるならパレット物が一番おすすめだよ!
2. カゴ車


カゴ車は、店舗配送でよく使われる荷物です。
軽い荷物が多い一方で、件数が多くなりがちで、スピード感が求められます。
代表例
- ドラッグストア用品
- ホームセンター小物
- 食品雑貨
フォークリフトを使う必要のない荷物でよく扱います。
特徴
- 1つ1つは重くない
- 固定の丁寧さが必要
- 動き回ることが多い
体力より段取りが、大切になってきます。
作業の流れ
- 横から積む or ゲート積み
- カゴ車同士が動かないように配置
- ラッシングで固定
※キャスター付きなので固定は甘くしないことが重要です。
「楽すぎず、きつすぎない」中間タイプの仕事です。
難易度:★★☆
向いている人:適度に体を動かしたい人・フォークリフトに抵抗がある人
3. 長尺物・資材


長尺物というと平車をイメージしがちですが、
傷や曲がりが許されない「製品扱い」の長尺物は、ウイング車で運ぶケースも多いです。
雨や飛び石から守れるため、
品質管理が重視される現場ではウイング車が選ばれます。
代表例
- 合板・石膏ボード
- アルミサッシ
- 住宅設備部材
特徴
- 横積みが基本
- 固定とバランス管理が重要
- 件数は、少なめ
作業の流れ
- 荷物の長さ・本数・梱包状態を確認して積み方を考える
- 荷物の長さに合わせて前寄せ・中央寄せ・奥寄せを判断
- ラッシング・緩衝材を使い固定作業をする(最重要)
長尺物は、動くと一気に危険なので固定されてるか、しっかり確認しましょう。
難易度:★★☆
向いている人:慎重な作業が得意な人



似てる荷物でも会社によって運ぶ車種が違うことがあるよ!
4. 飲料


飲料はフォークリフトで積むため手積みはほぼありません。
ただし重量があるため、固定や確認で神経と体力を使う仕事です。
代表例
- 清涼飲料水
- 酒類
- 業務用飲料
特徴
- 1パレット600kg〜1t
- 滑りやすく荷崩れリスクが高い
- 荷重が、かかりやすく急カーブ・急ハンドル厳禁
作業の流れ
- フォークリフトで積む(位置ずれに注意)
- ベルト本数多めで強めに固定する
- 出発前に荷崩れチェックを入れる
「重い=手積みがきつい」ではない点が誤解されやすい荷物です。
難易度:★★★
向いている人:体力に自信がある人・集中力がある人



重くてもフォーク積みならだから楽なんでしょ?



重いからこそ固定が大変で、位置決めも一発勝負なんだよ💦
5. 家電・精密機器


家電・精密機器は、スピードよりも「無傷で運ぶこと」が最優先の荷物です。
ウイング車は横から確認しやすく、丁寧な作業が求められる現場で使われます。
代表例
- 冷蔵庫・洗濯機
- コピー機・プリンター
- 医療・精密機器
特徴
- 荷物の単価が高い
- 傷・振動NG
- 固定方法が決まっている
作業の流れ
- 荷物の外装チェック(キズ・凹み)
- ゆっくり積み込み・位置決め
- パッドとラッシングベルトを使い丁寧に固定する
難易度:★★☆
向いている人:慎重で落ち着いた作業が好きな人



家電って神経使いそうで怖い…



現場もあまり急がせないから、落ち着いて作業していいよ!
6. 混載・工場間輸送(ルート便)


混載・工場間輸送は、決まったルートを回る定期便が多い仕事です。
荷物は複数ありますが、時間が安定しやすい傾向があります。
代表例
- 自動車部品
- 金属部品
- ロボット関連機材
特徴
- 生産ラインに合わせた運行
- 作業がルール化されている
- 時間厳守が多くて厳しい
作業手順が同じため、イレギュラーが少ないです。
作業の流れ
- 指定位置に積み込み(ルールがある)
- 積み降ろしは、現場側が対応することが多い
- 空パレット・空ラックを回収する
最初は、時間に厳しくて余裕がないけど慣れると同じ作業で続けやすいです。
難易度:★★☆
向いている人:安定志向の人・時間管理ができる人
ウイング車に向いていない荷物
ウイング車は万能に見えますが、構造上どうしても向かない荷物もあります。
事前に知っておくことで、無理な案件やミスマッチを避けられます。
- 危険物(ガソリン、塗料の危険物扱い、爆発物)
- 要冷蔵・要冷凍食品(専用車両が必要)
- 流れやすい液体
- 超大型特殊物(重機、長尺物の一部は平車が適正)
- 粉物のバラ積み
「何でも運ぶ」は要注意。車種には適材適所があります。
荷物で変わる働き方(向いているタイプ別)
ここまで読んでみて、
「自分はどの仕事が合いそうか」を整理してみましょう。
- 安定重視 → 工場間輸送・パレット物
- 適度に動きたい → 雑貨・カゴ車
- 体力に自信あり → 飲料
- 丁寧さ重視 → 家電・精密機器
ウイング車は「荷物選び」で楽にもきつくもなります。



パレット物・カゴ車は、体力的キツさが、バランスよくておすすめかな!
求人チェックポイント
荷物による傾向があるだけで、運送会社によってやり方が、違うので
求人票だけで判断せず、面接で必ず確認しましょう。
- 荷物の種類
- パレット率
- 件数
- 積み方(横積み or 観音)
- フォーク作業の有無
- 荷役のサポート体制
まとめ:ウイング車は「荷物選び」で楽さが決まる
ウイング車の仕事は、車種そのものより「何を運ぶか」で楽さ・きつさが大きく変わります。
パレット物や工場間輸送は作業内容が安定しやすく、未経験でも始めやすい仕事です。
飲料や一部の資材は重量や固定と運転で集中力が求められます。
また、「ウイング車=楽そう」というイメージだけで求人を選ぶと、
実際の仕事内容とのギャップで後悔しやすくなります。
だからこそ重要なのは、
車種ではなく「荷物の種類・荷姿・積み方」を基準に考えることです。
求人を見るときは、
- どんな荷物を運ぶのか
- パレット中心か、手作業が多いか
- 横積みか、後ろ降ろしか
この3点を必ず確認してください。
ウイング車は、
荷物を選べば未経験でも長く続けやすい仕事です。
この記事が、自分に合った働き方を見つけるヒントになれば嬉しいです。



